会社を変える第一歩は、名刺を変えることなのかもしれない。

四代目黒板屋の奮闘記 #17

こんにちは、2月末である程度受験シーズンが落ち着きますね。
受験生の皆さま、大変お疲れ様でした。戦いの1年間が間も無く終わろうとしています。
最後は学生らしく笑顔と涙が絶えない1ヶ月を過ごしてください。
僕は受験に成功したことがほぼなく、高校・大学と希望した学校に一度も受かったことがない人生なので、苦い思い出しかありません。今でも思い出すと辛かった記憶が蘇ってきます。
しかし、その挫折は大切だったと感じます。悔しさや情けなさを反骨心に変えて、高学歴や大手には絶対に負けたくない、という気持ちで日々生きています。僕の原動力はそこにあるかもしれません。

さて、今日のブログは「名刺」について経験から学んだ自分なりの考えをまとめておきたいと思います。
これから会社やビジネスを変革するためにきっかけを探されている方には、分かりやすく効果が出ることの施策の1つが名刺を変えることだと思います。
弊社は2017年から名刺を刷新したのですが、実は不思議とその年から業績が上がり、会社が安定してきています。今まで山ほどやってきたことはありますが、振り返ると最初に会社が変わるきっかけは名刺だったように思います。そこで、今回「会社を変える第一歩は、名刺を変えることなのかもしれない。」という仰々しいタイトルにさせて頂きました。
今回は過去の弊社の名刺がいかに“マズかったか”ということを解説し、それをどんな風に変えて、どのような効果があったかを解説していこうと思います。

もし自社の名刺について深く考えたことがなければ、
大きなチャンスを逃している可能性がありますので、見直してみてどんな名刺にすれば働いている人や受け取る人がワクワクするかを考えてみるタイミングにもなるかもしれません。
たった名刺、されど名刺。印象に残らないものではいけないし、しかし余計な情報が多くてもいけない、名刺一つでセンスのない会社と思われるのは簡単です。

最近、このような実体験に基づくブログの閲覧数が多く、よく見てもらっているので今回もその部類に入る内容となっております。
デジタル化が進んでいる昨今、アナログの名刺について語ること自体が古めかしいと感じる方もいるかと思いますが、まだ名刺を軽く見る時代は早すぎると僕自身は思っておりますので、ご興味がある方だけ見進めてもらえると幸いです!

さて、普段何気なく交換する名刺についてこれを機に少し調べてみると、こちらの記事の文中で以下のような内容がヒットしました。
『名刺はいらない?フリーランス界隈などで不要論が叫ばれる理由は』

  • そもそも名刺は紙の無駄遣い
  • 紙媒体の名刺は管理するのが大変
  • FacebookなどのSNSが名刺代わりになる
  • 個人情報保護の観点から持ち歩くのは危険
  • 名刺が必要となる働き方は古い

という文章がありました。

確かに今リモートワークやオンライン営業などをメインとしている業態で、もはや直接会って商談をしない会社さんにはとっては名刺不要だと言えますね。(オンラインで渡せる名刺とかもある)
仕事上の付き合いで必要な相手の情報は会社名・名前・メッセージがやりとりできる連絡先だけですので、それさえ分かっていれば十分ですよね。僕自身もオンラインで初めて会う人などもこの数年で増え、そういった場合はSNSでフォローし合って、その後はメッセージツールでやりとりする方が便利です。メールはやりとりに時間がかかり過ぎて、今では大の苦手です。ただ、それは仕事の環境やスタンスが合致する一部の人同士で許される連絡の方法です。
現代はデジタル化が加速的に進んでいますが、まだ直接会わないとできない仕事ばかりです。
弊社でいうと教育関連の製品を販売しているので、先生方や代理店さんに直接会って、製品を見て触ってもらわないといけないですし、受注が決まったら納品をして、教室に設置して使い方のレクチャーを行います。
そこには委託する外部の協力会社さんや関連メーカーさんもいます。システム化されている部分はあれど、すべての業務はオンラインだけは完了はしませんので、結果しょっちゅう“誰かと名刺を交換する”ことになるのです。

では、そのよくビジネス上行っている名刺の役割をまず整理します。

①初めて会う人に 身分を明かして安心感を与えるもの
➁先方の手元に残る形で、自分の情報(所属や連絡先)を渡せるもの
➂ビジネスマナーとして相手に合わせて渡すもの
④商談の前に自社の雰囲気を簡易的に伝えるもの

おそらくこんな所だろうと思います。(④以外は当たり前のことだと思いますので、読み飛ばしてもらっても大丈夫です)

①初めて会う人に 身分を明かして安心感を与えるもの
まずは名刺を渡せるということは、つまり社会的な身分を説明できない人ではない、という意味で
初接触の時に疑いを持たれにくく、ある程度ちゃんとしている人だという安心感を与える役割があります。(実際のところは少しコストを掛ければ誰でも名刺は作れるので、それだけで信用してしまうのは本当は危険も孕んでいます。公的なところでは身分証明にはならないのが実態です。詐欺にはご注意を!)
例えば、街角の営業マンに声を掛けられて名刺を渡されて、「こういう者なのですが、少しご説明させて頂くお時間を頂けませんか?」と言われるのと、何もなしにいきなり説明だけ一方的にされるのでは、心理的なハードルが全く違います。
また商談の際に名刺を持たずにその場を迎えたら、マナー違反っぽくなるでしょう。何か言い訳をしないと成立しないですが、その時点で疑いを持たれるマイナスからのスタートになるかもしれません。(インフルエンサーのような社会的に認知度と身分がある人達に言わせれば、なんて古い考え方だ、と言われるのは分かっていますが、一般社会の中では紛れもない事実です)

➁先方の手元に残る形で、自分の情報(所属や連絡先)を渡せるもの
自分の情報(社名、所属、名前、連絡先)を名刺によって一気に伝えられます。これはアナログ的ですが、とてもまだまだ便利だと思います。しかもどんな相手でも手元に残る形で渡すことができます。
ちなみに、直接会う人に自分の情報を口頭や筆記して教えるなんてことめちゃくちゃ面倒ですよね。
「はじめまして、私は株式会社サカワの坂和といいまして、名前の漢字は坂道の坂に平和の和、お寿司に忠です。メールアドレスは×××で、、」みたいな会話ありえないです。
その時に覚えてもらえなくても後ほど連絡を取ったりする際にないと困る情報を相手に自然に渡せる
のは名刺の最も便利な部分だと思います。

➂ビジネスマナーとして相手に合わせて渡すもの
相手に合わせて渡さなければならないもの、というのはあまり面白くない機能かもしれませんが、これも社会人である以上、名刺の重要な役割です。普段から名刺交換の機会が少ない方でも対峙する相手が名刺交換を求めてきた場合、こちらもちゃんと渡せるものを持っているかどうかやはり重要ですよね。「あ、ぼく名刺とか持ってないんで」と言われた時点で、日本のビジネスマン特有かもしれないのですが、ちょっと失礼な雰囲気を与えてしまいます。海外でいうと最初の握手とかに似ている気がしていて、握手を求めても拒否されるといい気はしないですよね。

④商談の前に自社の雰囲気を簡易的に伝えるもの
こちらが今回のメインでお話したいことなのですが、日本人にとってシェイクハンズをするような最初に渡すものが名刺であって、カタログやプレゼンを始める前にいわば自己紹介や会社のことを簡単に印象付けるものです。大手さんで企業イメージが既に定着している会社さんにとっては、あまり意味のないものかもしれないですが、会社名を聞いたことがない中小企業にとっては大きな役割と思います。
最初はいきなり本題に入らず、少し小話をしないといけないのが世の常だと思いますが、特に日本人はビジネスの話をする前の雑談や砕けた話から入るのが苦手な人が多い気がしていて、僕自身もそうです。早く本題に入りたい派なのですが、とりあえず天気の話とか、最近でいうとコロナの話だとかそんな何度も繰り返ししている話でとりあえずアイドリングをしていくのですが、当たり前の話しすぎてそこで打ち解けるのって結構テクニック要りますよね。
そんな時に会話になる名刺で話が少し盛り上がったり、こちらの雰囲気や姿勢を知ってもらえることってとても重要で、商談をスムーズに開始できるツールとして最適なものだと考えています。
また展示会や大人数が集まる場所で、短時間のうちに相手に印象付けるには接客スキルの鍛錬が必要ですが、誰にでもある程度パッと見で分かりやすい名刺を作っておくことで会社の雰囲気とやっていることを覚えてもらえることができれば、きっと日々の積み重ねでプラスに働いていくはずです。

では、具体的に弊社の以前の名刺と現在の名刺を比較していきます。

これが弊社が2017年頃まで使っていた名刺です。

普通じゃないか、そんなに悪くないんじゃないか、と思う方もいるかもしれません。
しかし弊社の昔のことを知らない社員がみたら、え!?うちの名刺ってこんなんだったの!?と驚くと思います。
多くの製品を知って欲しくて、情報量の多さにこだわっていた時代ですね。これはこれで勢いがありますが、少々自己主張が強かったように思います。そこで、良くない部分について分析してみました。

まず、シンプルさがない。どこに目をやっていいのか分からない。
一部、英語で表現してみたり、ロゴや理念を思いつきで入れてみたり、フォントにもデザインにも統一感がなく、実は違和感ばかりです。
単純に考えもせずに、全ての情報を並列に並べているだけで、抑揚も強調もありません。

次に多色過ぎる。色を使うのであればそれぞれに意味がないと行けない。
なぜこの部分は緑なのか、なぜこの部分は赤なのかなど、意味のないデザインやカラーは会社のイメージを伝えるための名刺にとって絶対にやってはいけないタブーといえます。幼少期の絵であれば味があると捉えることもできますが、思いを伝える会社の名刺においては、色の使いすぎに注意が必要です。

そして、企業情報や製品情報を入れすぎ。
基本ホームページを見れば 乗っている情報事をこと細かに入れる必要はありません。
カタログでもないのに、会社の事業をあれやこれやと載せすぎです。

全体として、こんなに情報をいっぱい入れて、色もふんだんに使っているにも関わらず、結果、印象に残らない特徴がない名刺になってしまっているのです。
これでは商談のチャンスを失うこともありますし、この会社に仕事を頼もうと思われなくなるリスクもあります。自分で言うのもなんですが、センスがある会社には思えないからです。笑

SNSなどでシェアの文化が醸成されてからデザイン性のあるものへの関心やlikeが増えているいま、見た目への重要度が過去とは比べ物にならないほど高まっていますし、情報も過多になっています。
結果、綺麗なものやシンプルなものにしか関心が向かなくなる世の中である、と言ってしまってもいいぐらいかもしれません。(逆に見た目ばかり気にして、実際には中身がないものやサービスもすごく増えてますが、それは話が逸れますのでまたどこかの機会で)

では、これを一つの反省材料として、名刺を作る際の意識すべき点を下記しておきます。

<名刺作成で意識すべき4点>
・シンプルで余計な情報を排除する
・会社のスタンスや事業を表す意味のあるデザイン
・コンセプトは自信を持って交換できる、自分の会社を誇れること
・手触り感や伝わる温かみが伝わるとベスト

以上の4点を加味しまして、生まれ変わった弊社の名刺がこちらです。

どうでしょう、手前味噌ですが、とても美しい名刺だと思いませんか?

まず、弊社の創業から行っている“黒板事業”を中心とした会社だと言うことが一眼で分かります。
そして、情報も最低限の伝えたいことだけが載っているので、どこをみて良いか分からないと言う目線の煩わしさがありません。
そして、名刺から醸し出されている“潔さがある” のも特徴だと思います。これは、会社の誠実さやクリーンさのイメージ持ってもらえることにも繋がっていきます。情報がごちゃついていると、それだけでどこか胡散臭かったり、煩わしく見えるものです。
また、経営理念や行動指針が非常に目立たせています。黒板名刺の雰囲気も含めて、会社の大切にしていることのスタンスがダイレクトに伝わります。

そして何より最も良いのが、“会話になる名刺”なのです。
名刺を交換した際に、高確率で
「お洒落な(or カッコいい)名刺ですね。」
「黒板屋さんなんですね、すごく特徴的ですね」
「この字は自分で書かれているのですか?」

などなどの質問が相手から飛んできます。
それに対してうちのスタッフはそれぞれ答えを持っていると思うので、そこから自然と雑談がスタートします。
相手の印象が良いまま、商談を始めることが出来ますので、心的なハードルが低くなりプラスに働くと思います。弊社のスタッフは名刺交換の時に自信を持ってに渡しますし、むしろ名刺交換のタイミングでどんな反応してくれるかな、とある意味ワクワクしているかもしれません。
そんな初対面の雰囲気ってなかなか簡単に作れないですよね?
日本人は、いきなり人とフランクに話すことが苦手なので、特徴的な名刺があることがどれほど素敵なことか分かっていただけると思います。

そしてこのブログのタイトルにある通り、このような“誇れる名刺”をきっかけに会社や従業員はこの名刺に恥じないようにして行動をしていかなくてはいけないのです。会社は立ち止まらずに事業を変化させなくてはいけないし、企業理念を変えたり、労働環境を良くしたり、従業員も普段から行動や発言を変えなくてはいけなくなるはずです。
言うなれば、名刺は僕たちの“なるべき姿の公約”であると言うことなのかもしれません。

特徴的なものにしようとアイデアをブラッシュアップしていけば、本質的にその会社が持っていたり目指したいスタンスを表すことになっていくはずです。

半分遊ぶように仕事をするのが特徴の会社はすごくラフで楽しい雰囲気が伝わるデザインにするべきでしょうし、絶対に安全やセキュリティを守る会社はカッチカチの名刺を素材やデザインから目立つように考えればいいのです。それぞれの会社さんごとに1社1社に必ず特徴があるはずなので、ノーアイデアで普通の名刺を作ってしまうのは、成長のチャンスを逃している単なるアイデア不足だと断言させていただきます。(あくまでも個人の主観ですm(__)m)

さて、今日は名刺について書かせてもらいましたが、この名刺についても弊社の企画事業部というチームが企画とデザインをしてくれました。企画事業部は5名のチームです。
最近、取材をして頂いた記者さんに会社の取り組みなどの話をしていると、30名満たない会社でデザインなどの企画をしているチームが5人は多いですね、と驚かれました。そもそも本業としてデザイン関連の事業をやっていない限り、専門部署は作らずほぼ外注する会社さんばかりですよ、と。
確かに最近は当たり前なので意識はしていなかったですが、言われてみたら珍しいかもしれないですね。

お客様が自社の情報に触れる部分をできる限り内製化して、最も良い形で情報に触れてもらいたい、そしてその更新頻度を常に保っていたいという思いがあります。
おかげで例えばこのようにブログの文章を書けば、校閲もしてくれるし、サムネや画像の用意、拡散まで担ってくれますし、例えば新製品を開発したら、そのネーミングからカタログやホームページ、広告などのリリースに向けて全力で考えてくれます。
次に会社がこんな新しいことをやりたいやこんなチャレンジをしたい、という時には彼らに壁打ち相手になってもらい、どうやれば良いか一緒に考えてくれますので他部署からも頼られる存在です。
名刺はもちろんのこと、デザイン関連のものを内製化できるということも会社の成長には欠かせないと思いますので、またの機会に“企画さんのお仕事”もまとめたいと思います!

以上、今日は案外ないがしろにされている、名刺についての考察をさせていただきました。うちの従業員に会った方は、ぜひ名刺交換やってください。では、また!
ご質問やご感想などあればいつでもお待ちしてます。お問い合わせ窓口または僕のSNSまでお気軽にどうぞ!

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この記事を書いたひと

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坂和 寿忠

株式会社サカワ4代目社長の坂和寿忠(トシタダ)です。愛媛県出身、1986年生まれ。大正時代に黒板製造業でスタートした弊社は創業100年を超え、教育分野という土俵はそのままに、今ではアプリを制作し、学校用プロジェクター「ワイード」を全国展開しています(今もグングン導入台数増加中)。 “日本一面白い黒板屋さんになる“ために面白いアイデアや仲間をいつも探しています。「こんな物を一緒に作れないですか?」「こういうこと出来ないですか?」なんていう面白いお話があればいつでも大歓迎です!FacebookやTwitterからメッセージお待ちしております。では、また!

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