#11 電子黒板の3つのメリットから考える学校業務の効率化ポイント

GIGAスクール構想の最初の方に導入した学校が、もう更新のタイミングに入ってきているのだとか。

授業の中に「パソコン」があるのは当たり前の景色となり、パソコンやタブレットを活用した授業も特別なことではなくなってきました。
なんともうらやましい限りです。

合わせて、教室にそれがあるのが当たり前になってきたものがあります。
それは、モニタープロジェクター、それら含め電子黒板などの「大型提示装置」です。

その象徴だなと思ったのは、CMやドラマでの教室の映像です。
黒板と共にしれっとモニターやプロジェクターを使った授業をしているではないですか。
私が初めて見たのは、小さい黒子の妖精(?)が出てくるCMです。
プロジェクターがある教室やそれを使って授業をしている光景に、あまり違和感を感じませんでした。

全国の公立学校*1において、普通教室の大型提示装置整備率は87.4%*2になるそうです。
大型提示装置の整備率調査が始まった平成31年度の52.2%と比較すると、順調に整備が進んでることが分かります。
この87.4%のうち、一体どのくらいが「電子黒板」なのか?の調査も合わせておこなっていただきたい。と、ぼやいておきます。

引用:令和4年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)〔速報値〕
*1 小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校
*2 令和5年3月1日現在

「大型提示装置」と「電子黒板」は少々異なります。
別物というよりは、大型提示装置という大きなくくりの中に電子黒板が含まれている形です。

電子黒板とは「インタラクティブ機能がある大型提示装置」のことです。
大型提示装置については、別の記事で解説しているのでこちらも合わせてご覧ください。
#9 授業のパフォーマンス向上への近道!大型提示装置とは?電子黒板とのちがいについて

猪狩ブログ#9_大型提示装置

電子黒板は、ただ「映す」だけではないです。
見せたいものを大きく提示し視覚的に分かりやすく説明をすることができます。
そして、今まで以上にクラス全体への共有がたやすくなりました。
電子黒板を活用し、あらゆる効率があがることで、教員・児童生徒どちらの負担も軽減でき、双方向の活発な授業やより中身の濃い授業が実現します。

黒板とチョークだけでももちろん授業はできますし、分かりやすく伝えることもできます。
しかし、電子黒板の力を拝借すると、「黒板&チョーク」だけでは実現が難しかったことや授業内でやってみたかったことに挑戦しやすい環境が整います。

それでは、電子黒板のメリットと合わせて業務の効率化ポイントもお伝えしていきます。

電子黒板のメリット1 多様な教材を大きく自由自在に

パソコンやタブレットを介して、教材や資料を大きく提示することで「視覚的にわかりやすく」説明をすることができます。電子黒板最大のメリットと言えるでしょう。

文字はもちろん、図形・画像・写真・動画等の多様な教材を、簡単に大きく鮮明に映し出すことができます。
これらの教材のいいところは、カラフル!動く!音が出る!です。
その場にないものや見ることが難しいものを、まるでそこにあるかのように・そこを覗いてきたかのように見て感じることができます。
目で見ておもしろい、耳で聞いて楽しい、視覚と聴覚にばしばしアプローチです。

今までだと先生が黒板に描いたちょっとしたイラストや図、教科書の挿絵や写真、資料集でしか見る・知ることができなかったです。
文字や簡単なイラストもよいですが、それだけではニュアンスが伝わりづらいです。
教科書にはカラフルな写真が載っているかもしれませんが、これらは動きません。

8月に弊社が開催したウェビナーの中で、登壇者であるアメージングカレッジ副校長の雙田先生が、「デジタル教科書は動く教科書」と言っていました。
電子黒板があれば、繋げて映すだけで、より視覚・聴覚的に分かりやすく伝えられ、また書く時間も印刷する時間も削減することができます。

また、インターネット上や教材プラットフォームからは、最新の情報や教材を簡単に得ることができます。
すべてを知ることができないくらい、とっても優秀なコンテンツがごろごろしてます。
授業のすべてを一から作るのは大変です。必要に応じて豊富なコンテンツを利用し、授業の魅せ方の幅を広げることも可能です。
もちろん使用する際は、権利等はきちんと確認してください!

例えば、小学生の理科の「人の体のつくりと働き」で考えてみます。
黒板のみでもし授業をするなら、消化までの流れを「口→食道→胃→小腸→大腸」と書いて、各器官の役割の説明をします。
人の体内は授業中には覗けないですからね。
これを電子黒板で動画を合わせて使うと、体内を覗きに行くことができます。

参考:NHK for School「人の体のつくりと働き」
https://www2.nhk.or.jp/school/watch/bangumi/?das_id=D0005110447_00000

NHK for School_人の体のつくりと働き_1
NHK for School_人の体のつくりと働き_2

電子黒板をタッチすれば、動画の補足で説明したいところを好きなタイミングで簡単に止めることもできます。

消化の流れの理解が目的ですが、動画を見ることで、「体内って肌とはちがう!ちょっとピンク色をしている!」とか、「こぽこぽ動いている!」など、新しい発見もあるかもしれません。
この、“なぜ?”が次の興味関心のきっかけになったりもします。

【電子黒板のメリット1 多様な教材を大きく自由自在に】の効率化ポイント!
・先生!見えません!タイム
・授業準備の手間
・教材やコンテンツを一からつくる時間
・黒板に板書をする時間
・事前に印刷物を準備する時間

参考:NHK for School ふしぎエンドレス 6年生
https://www2.nhk.or.jp/school/watch/bangumi/?das_id=D0005110447_00000

NHK for School_ふしぎエンドレス 6年生

電子黒板のメリット2 直感的な操作で簡単

パソコンやタブレットを、ケーブルまたは無線で「繋ぐ」だけで映像が映せます。とても簡単。

最近では、WindowsやChrome等のOSが搭載されているモデルの電子黒板も出ており、パソコンやタブレットを「繋ぐ」すらしなくてもブラウザを使えるものもあります。
さらに、表示された教材のサイズも指で拡大・縮小できたり、複数のコンテンツを画面に並べて表示することも簡単です。

弊社の「ワイード」での「2画面分投影」の図。

電子黒板は、電源を入れるだけ!パソコンやタブレットを繋ぐだけ!で、直感的に操作を行うことができます。
例えるなら、「大きなスマホ」といったところでしょうか。

電子黒板は、ただ見せるだけではありません。
画面上を専用のペンや指タッチによる操作にて電子インクによる書き込みができます。
文字はもちろん、図形・画像・写真・動画等の多様なデジタル教材に対して、強調させたいポイントに蛍光マーカーでハイライトをしたり、手書きで追加して説明を補足してみましょう。
電子インクのため、繰り返し何度でも書いて消すことができますし、かつその教材を何度でも繰り返し使うことができます。

今まであれば、黒板いっぱいにチョークで板書するしか方法がなかったです。
どうしても、書く・聞くの受け身な授業になりがちです。
もちろん、黒板とチョークの授業でも、分かりやすく・見えやすくする工夫がたくさんあります。ここは先生の腕の見せ所ですね。

また、授業の内容のすべてを板書していくのはそれなりに時間がかかります。
その間は、子どもたちに背中を向けている時間にもなりますし、子どもたちはその板書をノートに書き写さなければならないです。

特に子どもたちは、「ノートに書き写す」が作業になってしまいます。
「ノートに書き写す」作業をするためには、まず黒板に書かれていることを「読む」が大前提になります。
読んでから書き写す。正直なところ、先生の説明は頭に入ってきません。授業の内容の理解まで到底追いつかないです。
このような状態に陥っている子どもたち、一定数いますよね…。

板書をすることは、先生にも子どもたちにとっても大変負担です。

小学生を指導していた時、低学年だったこともあり、少しでも板書をする時間を減らすため、ノート見開き1ページで収まるような量や、子どもたちと同じ教科書やプリントを大きく印刷したものにマーカーペンで記入する等、試行錯誤してました。
↑電子黒板が普及しているこの時代には、もう絶滅危惧種ですね笑。
ICT環境が整っていない学校に勤めておりましたので、A0の超拡大印刷ができる印刷機と水性マーカーのPROCKEYさんには大変お世話になりました。
学習には直接関係のない「無駄な板書時間をいかに減らせるか?」は永遠の課題でした。

電子黒板を活用することで、先生も子どもたちも「書く」時間を圧倒的に減らすことができます。

先生は、まず電子黒板上に映しているデジタル教材にポイントを書き込むことで、今まですべて板書していた時間を削減することができます。
削減された時間は、ひとりひとりをよく見ることができる机間指導の時間に、子どもたちが考えを深める時間や意見を発表をする時間に充てることができます。

子どもたちは、聞くことに集中できるようになり、授業の中でより考える時間が増えます。

電子黒板を活用することで、45~50分の授業時間の活用の仕方が変わり、学習効果の向上が期待できます。
講義形式の知識蓄積な受け身の授業から、自ら気付き考え行動して、先生と子どもたち双方が活発な授業に。

【電子黒板のメリット2 直感的な操作で簡単の効率化ポイント!
・電子黒板やパソコンの準備をする時間、電子黒板と繋ぐ時間や手間
・板書計画や授業準備の時間
・板書をする時間
・拡大した資料の作成時間
・子どもたちがノートを書く時間

電子黒板のメリット3 教材や資料の保存と共有

デジタルコンテンツを見せて書いた後に、インクで書き込んだ資料や教材を保存することができます。
保存の仕方も簡単です。使用している資料やアプリケーションにもよりますが、ボタンひとつでピっと完了するものや自動保存されるもの、画像として保存されるタイプもありますね。

保存されていることで、後から見返すことができますし、次の授業の前時の復習をするにも最適です。前回使ったものと全く同じ資料や教材で復習ができるのはよいですね。

書いたものの保存は、板書の授業では絶対できないことでした。
1時間の中で黒板一面に書いたものは、その1時間限りで消えてしまう情報になります。
指導するクラスが変われば同じ授業をしていても、まったく同じように板書を再現して書くことはありません。

もし板書したものを残したい!となると、写真に撮るしか思いつきません。
それも毎授業後、「写真撮るから消さないで~」みたいな。目まぐるしく1日が過ぎていく中で、忘れずに撮らなくては!と意識しているのも大変です。
他のことをしている間に、仕事の早い日直さんが黒板をきれいに掃除してくれている未来が見えます。

授業の軌跡が残っているコンテンツは、「共有」されることでさらに真価を発揮します。
保存されていれば、授業を受けた子どもたちに共有することもできます。
同じ内容のものを全員に共有することができるため、間違えて書き写した!追いつかず書き写しきれなかった!等の、人によって書き写す内容が違う!問題も解決します。
子どもたちは手元のパソコン・タブレットで、好きなタイミングで何度でも見返すことが可能になります。1人1台の恩恵です。

子どもたちに限った話ではありません。
保存されたコンテンツであれば、ご家族や同僚の先生方、他の学校や他の地域の方、あるいは国境を超えることもあるかもしれません。

電子黒板の共有は、コンテンツの「共有」だけではありません。

子どもたちがそれぞれのパソコン・タブレットに入力した内容は、学習支援ツールを合わせて活用することで、電子黒板を通してクラス全体へ共有することも可能になりました。

黒板の前に出てきて、チョークで回答を書くなんてこともあったと思います。
今までであれば、指名された2、3人の児童生徒の回答や意見しか聞くことができませんでした。
それが、自分が作成した資料を電子黒板で映しクラス全体へ共有し、発表することも簡単になります。より多くの考えに触れることが可能になります。

【電子黒板のメリット3 教材や資料の保存と共有の効率化ポイント!
・紙からデータへ
・繰り返し活用できるコンテンツができる
・授業での時間の使い方が上手になる
・復習のための資料づくりの手間や時間
・共有の手間と時間

以上、電子黒板の活用メリットから考える業務の効率化ポイントでした。

昨今、さまざまなデジタル教材がたくさん登場してきています。
でもこれらが活かされるのは、環境が整っていてこそです。電子黒板はもう教室に必須アイテムだと思っています!

いざICT機器を目の前にすると、「使いこなさないと…」と思われることが多いですが、多機能な機能を全部使って授業してます!が、本当の意味での「使いこなす」ではないと考えます。
電子黒板は教室にあるさまざまな教具のひとつに過ぎません。
多機能な分、どの機能を使うかを選ぶのは非常に難しいですが、自分の授業スタイルに合わせて、効果的に活かせる場面を見極めて機器を使ってみていただきたいです。

自分の授業のちょっとした助っ人に!お助けマン程度に気楽に考えてみてください。

「電子黒板」とひとえに言っても、種類はさまざまです。モニタータイプもあればプロジェクタータイプもあります。
弊社主力製品・ウルトラワイド超短焦点プロジェクター「ワイード」も電子黒板の一種です。

学校向けウルトラワイドプロジェクター「ワイード」

※メーカーや機種によって、電子黒板の機能やスペックは異なります。
お客様にとって、最適な電子黒板が見つかりますように!!

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この記事を書いたひと

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猪狩

20XX年某日、流星のごとく現れたサカワ系ブロガー。 どうも。株式会社サカワ ICT事業部 営業課の猪狩です。行動戦隊ハイスピードマン。担当カラーはプリンイエロー。担当カラーは独断と偏見で決めました。好きな色は赤です。トマトレッドになりたかったのですが、赤はリーダーの色なので悔しいですが弊社のKB部長に譲ります。 好きな食べ物はチャーハンとたまごです。ゲームも好きです。モンハンとゼルダとポケモンをやります。ライブに行くのも好きです。ひとりで遠征します。BLUE ENCOUNTとcinema staffのライブによく出没します。 コロナ禍突入と同時にサカワに入社しました。中途です。お客様先でワイードご提案に始まり、導入後までをサポートをさせていただいております。最近はいろんなことに挑戦させてもらってありがたい限りです。 サカワ入社前は教員をしておりました。小学校教諭、中学校教諭、高等学校教諭の教員免許状(中高専門科目は数学)を取得しています。