2023年12月28日

経営の勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし

こんにちは。
2023年がまもなく終わりを迎えようとしていますが、今年最後のブログは自分への戒めのために書こうと思います。

さて、今年は特に自分にとって大きくことが動いた年でした。
何事もなく平穏に終わる年なんて、会社経営をしている以上ないことは分かっていますが、今年は本当に自分の身辺に最も浮き沈みがあった年だったと思います。
しかしながらその都度なんとか踏ん張って、ようやく年末まで来れたこと、そして来年に向けて明るい兆しも見えてきていることを考えると、初めて少し自分を褒めてあげても良いのかなと思います。それくらい人生で一番苦労した1年でした。

今回は2023年で僕が心に残った言葉を引用してタイトルにさせていただきました。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」

プロ野球界のレジェンド、ノムさんこと野村克也さんの言葉として、書籍を通じて知ったのですが
実際は江戸時代の大名で剣術の達人である松浦静山さんという方の名言だそうです。

意味は「負けるときには、何の理由もなく負けるわけではなく、その試合中に必ず何か負ける要素がある。一方、勝ったときでも、すべてが良いと思って慢心すべきではない。勝った場合でも何か負けにつながったかもしれない要素ある」という意味です。2023年は僕はこの言葉を自分自身が身をもって経験する年にとなりました。

今年で社長に就任して、丸4年が経過しましたが、会社は数字的には順調に成長してきました。
こちらが年毎の売上の分布ですが、就任した年の2018年は除き、2019年〜2022年まで毎年目標をクリアし、会社としては良い方向に向かっていました。

もちろん数字では表せないことも多々ありました。コロナなどの環境変化、事業の終了、また退職者も何人も出て、いくつも難しい状況はありましたが、最終的にはしっかりと結果を出し、従業員にも少しずつですが還元もできるようになり、会社らしくなってきたなという自負はありました。

ただし、内情としてはなぜ、現状上手く行っているのかという分析せず、成功していた理由をハッキリと経営陣が認識出来ていませんでした。
僕に至ってはどちらかというと、不安に駆られることの方が多く、うまく行かなくなったらどうしよう、売上が落ちたらどうしよう、と漠然といつも不安に思っていることが多かったので、色々と手を替え品を替えチャレンジはするのですが、全て勘頼りの施策ばかりで何が成功して何が失敗しているのかも分からないまま過ごす日々でした。
しかし、結果として4年連続で目標の売上と利益を達成し、なんだかんだで上手くいってしまっていたため、「なんとかなってくんだなぁ」「何かがうまいこといっているんだなぁ」と少し楽観的に考えてしまうようになっていってしました。いわゆる経営をナメてしまっていたのかもしれません。
タイトルにもある通り、自分にとっては「不思議の勝ち」状態が続いていたのです。
いや、経営者として自分が役割を果たせず、従業員のみんなが頑張って勝たせてくれていた、ということだったのかもしれません。
僕はそれくらい、現状把握をして自社のことを分析するということを蔑ろにしてきました。

その結果、今年2023年何が起きたかというと、上半期、業績がガクンと落ちてしまいました。
今までのように売上予想をしていた数値から、大幅に下回る結果となり、大変に苦しい前半戦となりました。それを知った時に会社として非常にショッキングでしたので、ここでようやく何が起きているのか分析を始めることになります。
問い合わせの数、受注の件数や単価、見積もりやデモの数などあらゆる方面から調べた結果、いくつか改善しなくてはいけない項目が分かってきました。

原因はいくつかありますが、大きなことは3つありまして、

  • 1つの製品に依存しすぎたこと
  • 競合他社の動向をキャッチアップしていなかったこと
  • ユーザーさんのニーズの変化に対してフォローができていなかったこと

ということが大きいことが分かってきました。

その兆候自体は半年〜1年くらい前からあったはずなのですが、それを一時的なこと、大して気にする必要がないことと片付け、対策を講じてこなかった経営判断のミスでした。現状や従業員の頑張りに甘んじて、会社の業績の健康診断を怠り、なんとかなると直感で経営をしていた自分の未熟さを反省しました。
感覚で経営判断を行ってはいけない、起きている現象をできる限り見えるか(数値化)して、都度適切な対応を早いうちに行わなければ、長く続く会社には成長できない、なんていうどこにでも書いてありそうなことに気づけませんでした。

しかし、この結果が私たち幹部チームにとって、お尻に火がつくことなり、原因の分析や今後の対策を話し合うことができたことで、これから何をすれば良いのかということが少しずつですが明確になってきました。
生きた心地はしませんでしたので、精神的には辛いですが、いい経験が出来ました。若いうちに経験できたこの1年は財産になったと、今ではポジティブに捉えています。

そうして、ここから初めてちゃんと我々が分析や戦略を元に会社を勝たせるための施策を打つことになります。詳しくは言えませんが、ざっくりでいいますと、ニーズや要望をキャッチアップできる案件・顧客管理、新製品の投入と継続した新技術開発スキーム、CSやDMなどによるユーザー様への接点強化、営業の役割分担とチーム強化、事業親和性のある別業界への進出や海外展開、などなどやれることが山ほど出てきました。

「負けに不思議の負けなし」という言葉通り、分析すればするほど、なるほど次はもっと早めにこのポイントをKPIとして見ておこう、目標をここまでにこの期間で設定しておけばいいね、もっとこんなツールを入れて問い合わせから受注、納品までのフローを作り、無駄や取りこぼしを減らそうなどという会社を健康診断するルール作りが少しずつ出来上がってきました。
そういう意味では今年は“負ける”という経験ができてよかったなと思っています。来年以降、学んだことを確固たるものとして定着させていければと思います。

その甲斐あってか、下半期では驚異的な盛り返しが起きて、なんとか期初に掲げた目標を奇跡的にクリアできるかもしれません。
この間、会社の方針転換や今まで出来ていなかったことを緊急の施策として幹部から全従業員にお願いしていったので、社員さんは大変だったと思いますが、それぞれ出来ることを頑張ろう!という雰囲気をいつも絶やさずに一生懸命にやってくれたサカワ社員のみんなには感謝しかありません。
そしてお付き合いのある関係会社様のお力添えも多々頂き、支えて頂きました。皆様、本当に有難うございます。

最後に、僕は今まで経営者になってから、ちゃんと仕事を果たせていなかったかもしれないです。
なぜなら、仲間を失う恐怖を知らなかったからです。

でもこれからは違います。

業績が落ちると、会社が苦しくなり、従業員の皆さんの雇用を守れなくなるのではないかという恐怖を初めて感じましたし、最もそれが怖いことだと分かりました。一緒にここまでやってきた大好きなチームがバラバラになってしまう、そんなこと絶対にあってはならないと思いました。
僕自身が成長し、仲間を守れる経営者、そしてみんなにも助けてもらい、社員さんと共に会社という船を動かし、全員の力を結集して“狙って勝てる”会社に成長していきたいと思います。

死地を乗り越えたサカワはおそらく最高に強く、面白くなるはずですので
2024年からのニューサカワをどうか皆さま乞うご期待くださればと思います。
新製品も、サービスも、営業活動も、会社の姿勢も、全社員で毎年過去最高を更新していきたいと思います。

では、本年もお世話になりまして有難うございました。来年も何卒宜しくお願い致します。

代表取締役社長 坂和 寿忠

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この記事を書いたひと

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坂和 寿忠

株式会社サカワ4代目社長の坂和寿忠(トシタダ)です。愛媛県出身、1986年生まれ。大正時代に黒板製造業でスタートした弊社は創業100年を超え、教育分野という土俵はそのままに、今ではアプリを制作し、学校用プロジェクター「ワイード」を全国展開しています(今もグングン導入台数増加中)。 “日本一面白い黒板屋さんになる“ために面白いアイデアや仲間をいつも探しています。「こんな物を一緒に作れないですか?」「こういうこと出来ないですか?」なんていう面白いお話があればいつでも大歓迎です!FacebookやTwitterからメッセージお待ちしております。では、また!

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