#19 「名刺を集めるのはもうやめた」サカワが、“姿勢と未来”を見せる展示会にシフトして成功した4つの施策

黒板屋四代目の奮闘記 #19

こんにちは。先日5月10日~12日の期間で、東京ビックサイトで行われていた「EDIX(教育総合展)東京」に出展致しまして、沢山の方にご来場を頂きました。コロナ騒動から早3年が経ち、ようやく抵抗なくリアルな展示会が開催できるようになり、感無量です。
近年 オンライン展示会も盛んになってきていますが、久々に展示ブースでお会いした方々と
「以前に導入したんだけど、毎日使って授業が良くなってるよ!」
「今回もどんな新しいものを展示してるのか楽しみにしてきました!」
など、この場でないと取れないコミュニケーションが沢山あり、展示会はやっぱりリアルが
一番楽しいなと改めて感じました。

EDIX東京2023_サカワの老舗黒板屋ブース_接客

目的がある同士が出会い、お互いの話をしながら製品に触ってもらい、時には悩みの相談にも乗りながら意気投合をする、こんなことがたった数日間で何百人の方と出来る場はリアルの展示会しかありませんね。
弊社は毎年、展示会をある種のお祭りのように捉えて楽しみにしていて、チームでアイデアを出しながら会社全体にも活気をもたらすための、絶好の機会だと考えております。

展示会についての考え方を、ちょうど1年前の4月に
「展示会への出展は本当にメリットがあるのか。ノウハウを公開」というタイトルで
ブログを書かせて頂きましたところ、多くの方にお読み頂きました。

今回はその中で触れた“展示会を出展するための3つの目的”のうちの一つ、
「新製品や新たなチャレンジで会社のスタンスや挑戦を見てもらうこと。」
について、先日行われたEDIX東京の弊社の展示内容に触れつつ、実践したポイントを詳細に書かせて頂こうと思います。

「会社の姿勢を見せるブース」をつくるポイント

まず大前提ですが、名刺獲得数だけを目標に掲げるブース設計はやめるべきです。

皆様が展示会にお客さんとして参加した際に、割と時間とコストを掛けて行ったにも関わらず、“去年と比べてあまり変わり映えしない” とか “アッと驚くような目新しいものがない”と感じ、結果的に得られるものがなく「時間が無駄だった」と感じたことのある方がいらっしゃると思います。
名刺交換数だけをゴールにしたり、展示会を即売会のような目的のみにしてしまう会社が多く、目的に合致したブースに巡り合えなかったからではないかと考えています。

それは、
今売れ筋の製品だけを並べてすぐに購入検討をしてくれるお客さんを掴もうとしすぎてしまい、ついつい製品のスペックばかりをPRしてしまういわゆる“よく見るブース”になってしまう。
ノベルティやコンパニオンなどで集客のみを目的にしすぎて、どんなお客さんでも捕まえられたら良い、という考えで興味のない方にまで接客時間を掛けてしまう。
ということが起きているからではないでしょうか。
無理やり集客しようとすると、逆に来場者の方は引いてしまいますので、当たり構わずカタログをばらまく形では良いお客様と出会えないと考えています。
各展示ブース内で出展社側と来場者側が、お互い相思相愛の状態を作ることが一番のポイントです。

そして、毎年同じ展示会に参加するという来場者も多いと思います。そんな皆さんは目が肥えていて、変化や新しさ、見たことのない刺激的な展示内容を求めています。
たとえ、見た目が派手ではなくても、展示内容が“攻めた”面白いブースに振っている企業に対しては、会場内での噂が回るのか、人が人を呼ぶのか、最終日になるにつれて人が集まり、最後に盛況になります。これは、無名ですが内容にこだわってきた弊社だからこそ経験から言えるのかもしれません。

展示会の出展者側の最大の目的は

企業の姿勢を見せる場所、ブランド価値を業界内で上げる場所です。

「安心感や定番」といったものが売れる量産の時代を経て、今は「会社としての姿勢や開発の背景が伝わるもの」が売れる時代に変化してきています。だからこそ、企業のブランディングを強化して、企業のフィロソフィーや大切にしているものづくりへの思いなどを、いかにユーザーさんに伝え理解してもらうかということが大切になってきています。
その点で、展示会は非常に良い機会になります。

今までの経験上で、展示会ではブースの構え方のポイントは以下の4点を意識すると良いと考えています。先日の弊社ブースの写真を交えて解説していきます。

1.ブースのコンセプトを明確にする
2.アイデアを駆使し、低価格・好デザインを目指す
3.新製品を必ず1つ。未来を見せることが、いまへの信頼につながる
4.来場者との交流をもち、滞在時間を意識する

1.ブースのコンセプトを明確にする

まず来場者の方に理解しやすいように、ブース全体のコンセプトをしっかりと設定することが大切です。展示会では、来場者の方は多種多様な目的を持ってきます。全ての展示を見ることはできませんので、自分の目的にあった展示に巡り合ってもらったほうが出展者にとっても、来場者にとっても良いので、ミスマッチが起きないように、「うちのブースはこういうコンセプトです!」とハッキリと打ち出すべきです。パッと見て、何をやっているか分からない展示をしていると、フワッと入ってきてしまった方で興味がないのに説明を聞く、というある意味お互いが疲弊する時間を費やしてしまうことが度々あります。お互い貴重な時間なので、コンセプトを分かりやすく示しておくことは、ミスマッチを防ぐ効果があります。

弊社は今年からブースデザインを一新し、「黒板屋」に全振りしたブースを設計しました。
過去は “プロジェクターの明るさ○○ルーメン”とか”こんな○○機能があります”などスペックを目立つように表記するのが正しいと思っていたのですが、今回は、私たちが大切にしている姿勢「やっぱ黒板が主役だと思う」というコンセプトを一番目立つメインに配置して、周りのコピーもうちの製品を使えばこんなワクワクした授業体験ができます、というような検討する方が実際に使うときのイメージができる手触り感のあるサインを意識しました。このブースであれば、「黒板はもう使わない」という方は入ってきませんので、その時点で興味ある方と相思相愛からスタートできますよね。ブースのコンセプトをハッキリさせることで、説明する営業スタッフの言葉にも説得力が増してきて、デメリットがありません。

2.アイデアを駆使し、低価格・好デザインを目指す

出展ブースでは、言わずもがなデザイン性にこだわることは大切です。
印象的な体験を提供することで、自社の魅力をアピールすることができます。ここで言うデザインの良いブースは、相当な予算を掛けないと人目を引くようなレイアウトにできないと勘違いしてしまいがちですが、先ほど述べたようにコンセプトがしっかり決まっていれば、かなり狙った方向性が見えてくるはずです。中途半端な装飾が排除されて、費用を抑えつつもスッキリとしたオリジナリティのあるデザインができます。むしろ予算や条件が限られているからこそ、脳をフル回転させて限られた中で面白いブースを作ろうと思うものです。
今回の弊社のブースデザインは「老舗感」を出すことです。
老舗の酒蔵をイメージした白と藍色と木の色で構成し、さらにその老舗感を増長させるべくアイデアをひねって、スタッフの衣装に前掛けを用意しました!

EDIX東京2023_サカワの老舗黒板屋ブース_集合写真

これで一気にブースの黒板屋と老舗をという世界観を作り上げることが出来ました。
会場の離れた場所でも、なんか変わった展示をしているサカワという会社があるらしい、と噂になっていたようです。衣装を作るのは装飾ほどはお金を掛けなくても出来る上に、スタッフが生き生きして一丸にもなれて、全体の雰囲気を作るにはもってこいだと思います。これぐらい思い切った方が楽しいですよね!企画チームのアイデアに感服です!

3.新製品を必ず1つ。未来を見せることが、いまへの信頼につながる

必ず1つは新製品(モックアップの参考出展でも可)を展示しましょう!が、この章のテーマです。
テクノロジーや新しいアイデアを駆使して、来場者に自社の先進性や革新性をアピールすることがとても大切です。しかしテクノロジーを使うことが目的ではなく、自社の姿勢や未来を見せるために新しい技術を活用することが重要だと思っています。以前のブログでも触れましたが、毎年この展示会に合わせて弊社では新製品やモックアップを開発してお披露目します。この場所がなければ開発も案外進まないかもしれません。
今年も実に4,5つほど新しいチャレンジをした製品を展示しました。(詳しくはこちら
売れ筋の製品の展示を減らしてでも、新しいチャレンジを見せる場所をあえて作ります。これは未来を見せることが、いまへの信頼につながると確信しているからです。
今まで展示会で新製品を出し続けてきて何度も空振りしてきましたが、その都度、既存の製品が売れていくという不思議な現象が起きました。振り返ってみるに、新しいものへのチャレンジをしている姿勢を見せることにより今の企業ブランドへの信頼や価値が増え、既存ビジネスに好影響を与えるということなのかもしれないと考えるようになりました。逆に変わり映えしない展示だと、去年と何が違うの?という質問ばかりに追われて商談が進まないケースが多くなります。
こんな楽しい未来を見せてくれる会社だったら、あんなこともこんなことも相談しよう、という風になるのが自然なのかもしれません。

4.来場者との交流を大切にし、滞在時間を長くをモットーに。

来場者と交流するのが大切であるのは当然ですが、上記の3つを意識してブース設計を進めていけば、自然と興味のある方のみが訪れてくれます。まずそこまでの世界観を作ることが“勝ち筋”です。
そこまでいけばあとは、ご来場いただく方に心行くまで滞在時間を長く取って頂けるように意識していきましょう。つまり、ご興味を持って頂ける方と深く長い時間を共にするという意識です。

そのために、滞在しやすいブースのデザイン、見て回りやすい動線確保も大切ですし、さらに誰に話しかけてもちゃんと製品の理解をしていて説明ができるスタッフの配置や姿勢も非常に重要です。
製品の説明はもちろん、お相手の状況を詳しくお聞きしたり、お悩みなどもあれば自社と関係がない領域でも相談に乗り、こちらのことを好きになってもらったり、信頼してもらうことはとても大切です。

先ほども述べたように名刺交換の数ばかりに目が行って、どんどん来場者をつかまえようとするスタンスだと1組に対する時間を短くするしかありません。展示会場では製品に実際に触れられますし、設置している様子なども見せられます。商談内容によっては複数の詳しいスタッフで2on1で相談に乗ることもできます。一人でお客さん先にカタログだけ持って行く営業とは体験できることが何倍も違いますので、この場所でもう他には聞くことがない、あとは見積もりをください、と言われるところまでたっぷり話をして、何でも相談できる間柄にまで発展していた方が良いと考えます。結局リアル展示会は人と人とが出会う場所で、それを最も大切にしているブースでは、ご来場者の方が最高の展示会体験ができるのです。

EDIX東京2023_サカワの老舗黒板屋ブース_盛況の様子


以上、今まで経験した中での展示会で大切にしたい4つの項目のお話でございました。
今回は特に以上のことを意識して出展した結果、先日の5月10日~12日の展示会では、

合計名刺交換数は過去最高(スタッフ一人あたりの名刺交換数も過去最高)となりました!

3日間でほぼずっとブース内にお客様がいる状態が続き、一人一人を丁寧に対応しているにも関わらず、結果スタッフをいつもより多めに配置しておかないと足りなくなるほどの盛況ぶりでした。
人が人を呼ぶ効果もあったと思いますが、具体的な商談に進む数も非常に多く、過去最高の展示会での成果が上げられたと思います。お客様との楽しい対話と製品のPRと、展示会は改めて楽しいなとスタッフのみんなが実感した3日間でした。毎年楽しかったとみんなが思えるブースを今後も作っていきたいと思います!

EDIX関西でお会いしましょう!

さて、来月6月14日(水)~16日(金)に、「EDIX(教育総合展)関西」がインテックス大阪で開催されます。
関西では弊社の「老舗黒板屋さんブース」がデザインをさらにアップデートして登場致します。
「来てよかった!」と思って頂けるブースを用意してスタッフ一同皆様とお会いできることを楽しみにしておりますので、ぜひご来場くださいませ。
お待ちしております!!!!!!(左:社長、右:営業部長)

EDIX東京2023_サカワの老舗黒板屋ブース_社長と営業部長


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この記事を書いたひと

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坂和 寿忠

株式会社サカワ4代目社長の坂和寿忠(トシタダ)です。愛媛県出身、1986年生まれ。大正時代に黒板製造業でスタートした弊社は創業100年を超え、教育分野という土俵はそのままに、今ではアプリを制作し、学校用プロジェクター「ワイード」を全国展開しています(今もグングン導入台数増加中)。 “日本一面白い黒板屋さんになる“ために面白いアイデアや仲間をいつも探しています。「こんな物を一緒に作れないですか?」「こういうこと出来ないですか?」なんていう面白いお話があればいつでも大歓迎です!FacebookやTwitterからメッセージお待ちしております。では、また!

♪サカワのテーマソング「時代を超えて」