東京・大田区にある立正大学付属立正中学校・高等学校で、試験的に導入が始まった「かけるくん StarBoard」。電子ペンに加え、ホワイトボードマーカーでも直接書き込める点が特徴の電子黒板です。今回お話を伺ったのは、同校のICT(情報通信技術)担当で英語科の教員である杉山茂巳さん。現場の視点から見えた、「かけるくん」導入の背景と手応えを伺いました。


進むICT化、生徒と教員の距離を縮める教育環境
立正大学付属立正中学校・高等学校は、長い歴史を持つ伝統校としての側面と、時代に合わせて教育内容を進化させている側面を併せ持つ東京都内の私立学校です。スポーツ活動にも力を入れ、文武両道を目指す生徒が集う一方で、近年はICT教育や英語教育にも積極的に取り組んでいます。
近代的な佇まいの校舎内は、どの教室も採光にあふれて明るく、広々とした学食スペースや休憩コーナーが用意され、開放的な雰囲気です。Wi-Fi環境が整備され、生徒・教員ともにタブレット端末を活用した授業が日常風景になっています。
同校では、デジタル教科書やオンライン教材、動画資料などを活用し、学習内容を視覚的・直感的に理解できる環境を整えています。時代の流れに合わせてICT導入を進める一方、学校教育の中で変わらず大切にしているのが、生徒と教員のコミュニケーションです。

「たとえば黒板やノートをデジタル化して単に画面をモニターに映すだけでは、生徒とのやり取りは生まれません。その場で書きながら説明し、生徒と同じものを見て一緒に考えることが大事だと思っています」と杉山先生。
そんな中で出会ったのが、ホワイトボードマーカーで直接書ける電子黒板「かけるくん」でした。
導入の決め手は「黒板に書く」感覚で使えること

同校ではこれまでも、サカワ製のモニターやプロジェクターを活用してきましたが、導入から約8〜9年が経ち、機器更新の時期を迎えていました。複数の製品を検討する中で「ホワイトボードマーカーで直接書き込める電子黒板があることを知り、興味が湧きました」と杉山先生は話します。
「電子ペンだと、色を変えたりハイライトを入れたり、図を整理したりと、見せ方を工夫しやすいんです。授業で内容をまとめる場面では、とても便利ですね。
一方で、必ずしもきれいに整った板書だけが求められるわけではありません。その場で思いついたことをメモしたり、補足を書き足したりする場面では、マーカーでパッと書ける機能の方が自然です。教師という立場からは、そこがとても魅力に感じました」

教員の中には、「黒板に書く」という行為そのものを大切にしている人も少なくありません。授業は、先生がその場で考え、言葉を選びながら板書を組み立てていくプロセスも含めて成立しているからです。
「ICTを活用しながらも、『書いて伝える』感覚を失わないこと。その点で、ホワイトボードマーカーでも直接モニターに書ける『かけるくん』は、デジタルとアナログの良さを融合させた、今の時代に合った電子黒板だと感じました」
授業だけでなく、学校生活全体に「かけるくん」が広がる可能性
「かけるくん」は、現在は主に授業での活用が中心ですが、校内のICT勉強会ではさまざまな活用可能性についても話題に上がっているといいます。
「たとえば部活動では、グラウンド図を表示して選手の動きを書き込みながら戦術を共有する使い方が考えられます。電子ペンでていねいに描き示すだけでなく、ホワイトボードマーカーとイレイザーを使って書いたり消したりするほうが指導しやすい場面もあるでしょう。また、授業前のアイスブレイクやホームルームでのメモ共有、座席配置の確認など、学校生活の中でも『パッとかけてサッと消せる』機能は、活用できる場面は多いと感じています」
授業だけでなく、学校生活のさまざまな場面で、生徒と指導者が同じ画面を囲みながらコミュニケーションをする――。その環境づくりを後押しする存在としても「かけるくん」に期待していると杉山先生は語りました。
黒板の制約から解放された授業の進め方

杉山先生は、実際に自身の授業で「かけるくん」を使ってみて、従来の黒板にはないメリットが感じられているといいます。
「黒板では、スペースが足りなくなると途中で消しながら授業を進める必要があります。しかし電子黒板では、表示領域を広げながら書き続けることができます。さらに、モニターに表示されている画面をスクリーンショットとして保存できます。前回の授業内容を呼び出して続きを説明したり、教科書を映して補足を上から書いたりできるため、生徒にとっても授業の流れを追いやすく、理解が深まりやすいと感じています」

生徒からも、「先生の説明と教科書を同時に見られて分かりやすい」「黒板と手元を見比べず、目の前のモニターを見ていればいいので授業に集中しやすい」といった声が挙がっていました。
また、杉山先生は「映像や音声の質が向上した点も評価が高い」と話を続けます。
「英語のリスニング教材や社会科の歴史映像など、細かな音声や映像がよりはっきり伝わるようになりました。手元のタブレットと連動させて映像ニュースなどをすぐに映し出すこともできます。おかげで授業の幅が広がりました」
生徒が参加する授業へ。「かけるくん」活用の可能性

杉山先生は、ICT機器の導入で重要なのは「誰でも自然に使えること」だと話します。
「機能が多くても、使える人が限られてしまっては意味がありません。これまでの黒板と同じ感覚で使えること。その延長でデジタル機能を使えることが大切だと思っています」
現在は教員側の活用が中心ですが、今後は生徒が参加する授業への広がりも示唆する杉山先生。
「例えば、『かけるくん』には複数人が同時に画面へ書き込める機能もあります。今後、ICT導入がより進んでいる高校の授業では、生徒が前に出てきて、それこそ黒板のように一緒に書き込みながら考える場面も作れるかもしれません」
電子黒板は単なる機器ではなく、生徒と教員が同じ場所を見ながら、一緒に考えるための環境を支える存在。立正大学付属立正中学校・高等学校で始まった「かけるくん」の活用例や今後の活用イメージは、教育ICTが目指すべき方向性の好例といえるでしょう。

導入製品について
製品名:かけるくん StarBoard(製品ページはこちら)
サイズ:75インチ
設置方法:スタンド
設置台数:1教室
設置時期:2025年10月