2023年3月30日

【導入事例】デジタル教科書実証実験校の、「生徒を惹きつける」イマドキICT授業

導入先:女子美術大学付属高等学校・中学校 様
導入製品:ウルトラワイド超短焦点プロジェクター「ワイード」


中学校でデジタル教科書を採用したことで、教育のオンライン化がますます進んでいる女子美術大学付属高等学校・中学校。取材当日は中学1年生から高校3年生までほとんどの授業でワイードが使われていました。同校で主流の授業展開は、「ワイードで大きく映して、ホワイトマーカーでポイントを書く」というもの。資料ベースで解説を加え、生徒はノートに写して覚えたり、先生作成のプリントに穴埋めしたりして理解を深めています。

ICT環境整備が広まったことで授業にも多様性がもたらされていましたが、「オールデジタルはまだ早い」として、紙のノートや資料集との使い分けを配慮しています。同校がいかに試行錯誤して授業に励んでいるのか話を伺いました。

【画像1枚で読む】 導入事例レポート

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【じっくり読む】 沢山のデータから教材を選びぬく、デジタル教科書との共存

近藤先生は中学校で社会の地理分野、高校で地理(総合)を担当されています。授業の取材は今回で2回目。前回の取材でも圧倒されましたが、複数端末を使いこなして絶妙なタイミングで提示資料を切り替え、アニメーションなどで生徒を飽きさせない授業スタイルが特徴です。

タブレット端末を複数台持つことは「授業のバックアップ」も兼ねており、急に端末の調子が悪くなったとしてもあと1台あることでリスクを減らしていると言います。インタビュー中に近藤先生から「ICTは、“いつも・チョット・トラブル”の略ですね(笑)」と名言が飛び出した時には私たちも思わず頷きました。

取材に応じてくださった近藤先生(女子美術大学付属中学校・高等学校)
取材に応じてくださった近藤先生

使用端末とソフトについて

【授業で使っている主な端末】
・iPad Air 第4世代、iPad mini 3、iPad 第5世代
・Apple TV 4K (第 1 世代)、Apple TV 4K (第 2 世代)
※同校全体ではなく、近藤先生独自の機器構成です。

【授業で使っている主なソフト】
・Microsoft PowerPoint(学校より支給されたWindowsPCで資料作成を行うことが多い)
 └ 発表者モードorスライドショー

情報のインプットが多過ぎると、生徒が処理しきれない場合もあります

ーー本日はありがとうございました。近藤先生が授業を行う上で、大事にされていることはございますか?

デジタル教材の利用を始めると、沢山のデータや画像を投影することが可能になります。それは一方で「多すぎる情報」になり、生徒たちが処理しきれない場合もあります。どの情報を提示するのが最も効果的なのかを常に考えています。

授業は生き物なので、準備してあっても生徒に掲示しないものもあります。大切なのは「物事の本質を捉え、自ら問題解決を図る力を養うこと」です。生徒がそれを達成できるために授業があるので、「準備を周到に本番は柔軟に」を大切にしています。
資料を見せすぎていたと反省した時期もあるのですが、今は生徒の呼吸や雰囲気をみて、授業ごとに最適解を考えています。
中学1年生は穴埋め問題中心、高校三年生は長文で考える場面を多く設けるなど、学年によって学習プリントは変えています。

ーー基本的に板書はせずに授業を進められているのでしょうか?

基本はしません。書き込む時も、パワーポイントのペン機能を使用することが多いです。

数学の授業でプロジェクター「ワイード」(電子黒板)を使う先生
公式を残しながら問題を解いて解説までできるのは横長だからこそです。映像が小さくて困ることがなく、情報量が適切な「説明を聞きやすい」授業に。
英語の授業でプロジェクター「ワイード」(電子黒板)を使う先生_タブレットに書き込みながら
タブレットのマーカー機能を使い赤ペンで書き込んで解説しています。デジタル教科書の公式部分をデジタル付箋で隠し、説明の中で順番に付箋を取って提示するシーンもありました。一気に見せるよりもワクワクします。

「デジタル教科書時代」はメリットだらけです

ーー前回取材から1年ほど経ちましたが、ご自身の授業で変化や進化した点はありますか?

まずは持ち運びのしやすさです。紙の教科書はかさばりますが、デジタル教科書は全て1つの端末に収まるので軽い。生徒が教科書を持って帰る時は紙ではなくデジタルを勧めていますね。授業中は机の上に立てて置けるので安定感があり、省スペースなところも紙の教科書との違いです。
どんどん素材が豊かになり、一つの単元にいくつも関連動画があるんです。読み上げ機能や総ルビ※1機能も便利。デジタル教科書の説明資料を選ぶと、生徒が同じ資料を家で見ることもできます。最近は教科書準拠の生徒用デジタル問題集も出始めており、オンライン上で提出、チェック、採点、返却まで行えます。発達障害や学習障害の子にとっても、デジタルの教材は資料選択に幅がある分、扱いやすく感じます。
ただ、デジタル教科書は便利な反面、誘惑もあります。ですので机間巡視で生徒の様子を見ながら節度を守ってもらうように気を付けています。デジタル教科書はまだまだこれからで、可能性は無限大です。

※1:総ルビ…文章中の漢字のすべてに振り仮名をつけること。

ーー中学校の時を思い返すと、重たい教科書を学校から持って帰るのは確かに億劫でした…。生徒からデジタル教材を「見返したい」と言われた時はどう対応されていますか?

著作権的に問題がなければ、PDF化して配信することもあります。テストの前に見直せることもメリットですね。

ーーデジタル教科書の他に授業で使うソフトはありますか?

授業ではClassiNOTEを使います。私はプリントをベースに授業展開しており、プリントは全て配信しています。新聞記事から修学旅行のワークまであらゆるものをまとめています。生徒のデバイスからダウンロード・提出をしてもらったり、こちらからスタンプで反応したりできます。
オールデジタルはまだ早いかなという気がしていて、紙と並行して使っています。

蓄積してきた社会の教材。タブレットで整理している
蓄積してきた社会の教材を見せていただきました

「生徒のプレゼンにも向いています」大型提示装置としてのワイードの役割とは

ーーワイードを導入されてから4年ほど経ちますが、各先生方のワイード使用状況の変遷を教えて頂けますか?

導入直後は画像を投影することのみが目立ちましたが、そこからプリントの一部を投影する、動画を投影する、生徒のプレゼンに利用するといった使い方が多くなりました。また、内容は変わらずとも各自がより見やすい、授業効果が高い方法を模索し、授業が「深化」してきているのではないか、と思います。

ーー社会や理科はワイードとの相性が比較的良いと考えています。国語や数学、美術などの教科ではどのようにワイードを使われてますか?

画像を投影する、という観点では、どの教科でも相性がいと思います。その他の教科では、教科書の内容を投影することや、板書を書くことではなく投影することで、その時間を生徒への指導に充てることができます。また、生徒が行うプレゼンテーションも、大画面だからこそ伝えやすい、という部分もあると感じています。

生徒のプレゼン発表_ワイードで映像を大きく投影
生徒タブレットの画面をホワイトボードに大きく投影。プレゼンに迫力が出ます。

ーー中学校と高校の授業は、どちらも同じようにiPad2台活用で授業をされていますか?その際の中学校と高校の生徒さんで反応は異なりますか?

反応、という意味ではあまり変わらないと思います。生徒たちにとっては「当たり前」のこと、と考えているようです。私の場合、高校は発展的内容+文章量も多めなので、2画面展開がスムーズです。2画面への切り替えはリモコンだけで簡単にできますね。
中学は基礎をしっかり身につけることが大切なので、授業内での復習時間を設けることもあります。また、中学ではデジタル教科書を利用しているので、それを効果的に使うためにはどうすればよいかを考えています。片方の画面をそちらに当て、板書内容をもう片方の画面に残すことで、生徒の集中が切れないようにしています。

社会の授業でプロジェクター「ワイード」(電子黒板)を使う先生_iPadを使いこなす
社会の授業でプロジェクター「ワイード」(電子黒板)を使う先生_画像が明るく綺麗に映る
手書きだと相当時間がかかる図形も、一瞬で提示。正しい図(地図のサイズや図形の角度)を表せられるのも嬉しいポイントです。

ーー授業中にホワイトボードを撮影している生徒さんがいましたが、何か理由はあるのでしょうか?

教科書やプリントでフォローし切れない所を撮影させることがあります。撮影して終わりになると困るので、必要に応じて許可していますね。

ーー iPad2台を活用して授業を行う故の苦悩などはございますか?

特にないです。むしろ、いいことばっかり!と思っています。ICT製品は不具合が出ることもしばしばありますが、大抵はヒューマンエラーなので、少し時間をかければ解決することがほとんどです。ただ、限られた授業の中でその時間を捻出すると影響を受けるのは生徒ですので、トラブルが起きた時も1、2回は修正を試みますがダメなら1台でやります。
iPadのサイズはあえてバラバラにして、どの端末の映像が左右どちらに投影されているか見分けられるようにしています。

iPadを2台持ちながら机間指導する近藤先生
各iPadのサイズやカバーを変えて区別が付くように工夫していることが分かります。(片手でiPadを2台持つ技はなかなか習得できることでは無いかもしれません)

デジタル教科書の質が上がり、生徒を惹きつけるための工夫がしやすくなりました

ーーいただいた社会の教材の作り込みがすごかったですね。何のツールでアニメーションを作成していますか?

教材として教科書会社が用意しているものも多数あるのでそちらも良く利用します。自分で準備する際はAdobe Illustratorで下地を作り、それをアプリで動かす、ということが多いです。最近はデジタル教科書のアニメーション素材の質が良くなってきたので、そこから選ぶことも増えました。自作の場合は、一つ作るのに結構時間を要していましたね。

ーー当時、操作はどのように学ばれたのでしょうか?

イラストレーターについては、大学生時代に地図を書くことがあり、そこで覚えました。それを動かす方法は、生徒が教えてくれました。

ーーデザイン系の学校ならではのエピソードですね。教材はいつどこで作成されることが多いのでしょうか?

長期休暇や授業の合間にやることも多いです。生徒は毎年変わるので、それぞれの学年に向いているものが閃いて、直前に作る時もあります。

ーー教材作成する上で参考にしているものがあれば教えてください。

海外の教育系ウェブサイトを良く見ます。最近は生徒からYouTubeを勧められることもあるので、視聴して勉強しています。

ーー作成した教材を他の先生と共有することはあるのでしょうか。

本校は地理の専任が私しかいないのであまりその機会はないですが、同じコマを持った時は全て共有しています。 本校では教員の専門性を重視しているので、高校では地理(総合)、中学では社会の地理分野を担当することが多いため、数年かけて「教材貯蓄」をしています。

ーーデジタルを駆使した楽しい授業ばかりで見応えがありました。本日は誠にありがとうございました!

学校ICT機器整備環境

女子美術大学付属高等学校・中学校の「ICT活用キーワード」

・デジタル教科書(動画、音声も積極的に)
・紙プリントやノートとの両立
・アクティブラーニング(生徒のプレゼン)
・コロナ対策で学校に来れない生徒に向けて授業を録画、配信

学校が導入している主な教育ICT関連製品

【教室環境】
「ワイード」壁掛け設置、ホワイトボードにタブレットPC端末の映像を投影

【端末(教材作成ソフト)】
iPadやWindowsPC

【外部教材(授業支援ソフト)】
デジタル教科書(中学校/文部科学省の実証実験に参加中)
「Classi」「ClassiNOTE」他導入済み

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製品詳細現行モデル名称:ウルトラワイド超短焦点プロジェクター「ワイード プラス」
型番:SP-UW4000
・機能と特徴ページ
・地域別の導入実績ページ
カタログ・資料全国の小中学校・高等学校を中心に6700台以上導入。黒板いっぱいに映せるウルトラワイドなプロジェクター「ワイード」のカタログやお役立ち資料はこちら
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